あの笑顔をわたしだけのものにしたい… わたしだけに微笑んで欲しい。 こんなドロドロした欲望が、心の奥底に少しずつ沈殿していく。 彼女に愛されたい、嫌われたくない。 だから、必死で「良い姉」でいようとするのに。 でも、心とは裏腹に、ついヒステリーを起こして彼女を怯えさせてしまう。 彼女の怯えた表情を見る度、わたしは少しの後悔と少しの不安に支配されてしまう。 この気持ちを拭うためにはどうしたらいいか。 わかっている… けど、その勇気だけが、足りなかった。 「お姉様、どうしたんですか?」 ハッ… 明るい声に誘われるように、ビスケットのような扉に目を向けると、わたしの妹の祐巳が首を傾げながらわたしを見ていた。 「祐巳…」 「なにか…」 「えっ?」 「いえ…」 祐巳は、言いかけた言葉をとっさに飲み込む。 少し怯えた仕草に、わたしは苛立ちを覚えた。 「はっきり言いなさい」 びくっ 微かに祐巳の身体が揺れるのが見えた。 また… また、やってしまった。 そう思ったが、それも後のまつり。 わたしは、後悔しながら祐巳の次の言葉を待った。 「あの…」 「……」 「あの…、何か悩み事があるのかと思って」 「悩み事?私が?」 「はい…」 「何故?何故、そう思ったの?」 「それは…」 祐巳は、言おうかどうしようか迷っている風だった。 だが、わたしは黙って祐巳の答えを待った。 また、彼女を怯えさせたくない。 だから、わたしはただじっと祐巳を見つめた。 祐巳は、真っ赤になりながら必死で言葉を探しているみたいだった。 「お姉さまが…、とても苦しそうだったから?」 「だから、悩み事があると?」 「すいません」 祐巳は、あわてて謝罪の言葉を紡ぐ。 そして、わたしに向かって頭大きく下げた。 コトっ わたしは、読みかけの本を机に置くとゆっくりと立ち上がった。 びくっ わたしの動作に反応して、また、祐巳がびくつく。 「謝ることはないわ…」 「でも…」 祐巳は、少し目を潤ませてわたしを見つめる。 その姿に心がざわめく。 「心配かけてごめんなさい。でも、大丈夫だから…」 わたしは、勤めて優しく声をかけた。 でも、祐巳は突然泣き出してしまった。 「祐巳…」 「わたし…、お姉様に迷惑かけてばかりで、お姉様のお役に立てないんですね」 「何を言ってるの」 「だって…、お姉様、あんなに苦しそうに…。だけど、何も…」 祐巳は、わたしが何も言わないのを自分が頼りないからだと思ったみたいだった。 言葉でそれを否定してやっても、祐巳は納得はしないのだろう。 だけど、言えるはずがなかった。 わたしの悩みが何なのか、このかわいい妹に… どうして言えるだろう。 自分のどす黒い欲望など… 『祐巳が欲しい。自分だけのモノにしたい…』 とどうして言えるだろう。 この純粋な妹に… だけど、このまま彼女を泣かせておくことも出来ない。 どうしたら… その答えにたどりつくより先に、身体は自然に動いてしまっていた。 祐巳の身体を優しく抱きしめていた。 「祐巳…」 祐巳の身体は、微かに震えていた。 まるで、何かに怯える雛鳥のようだった。 わたしは、彼女の香りを胸いっぱい吸い込むように彼女の柔らかな髪の顔を寄せる。 「祐巳…、わたしのこと嫌い?」 「そんなこと、そんなことありません」 祐巳は、わたしの質問を必死で否定する。 「でも、祐巳はいつもわたしに怯えてる…」 「それは…」 「そんなに怖い?」 「怖いだなんて…。そんなことありません」 「なら…」 「お姉様に…、お姉様に嫌われたらどうしようって…」 ぽたっ 祐巳の涙がわたしの腕に落ち。制服の袖に涙の染みを作る。 「わたしが嫌うなんてこと、あるはずないでしょ」 「でも、わたしは…、わたしは…、お姉様に…、ふ…むぐっ」 何を言おうとしたのか… わたしは、祐巳の答えがわかってしまった。 だから、わたしはとっさにその言葉を自分の唇で遮っていた。 そして、祐巳の答えを自分の口の中に飲み込む。 『ふさわしくない』 そんな言葉は聴きたくなかった。 否… 『ふさわしくない』のは、わたしの方だった。 純粋に自分を慕ってくれる祐巳にふさわしくない欲望を抱いている。 そう、わたしは… 祐巳の柔らかな唇を感じた瞬間、その欲望に身を任せた。 わたしは、祐巳を捕食するかのように、彼女の甘い蜜を求めた。 そっと、舌を差し入れ、彼女の口唇の柔らかさを味わう。 祐巳は、今、自分の身に起こっていることを認識できずに、目を大きく見開きわたしのなすがままに身を任せていた。 祐巳…、ごめんなさい 何度も、何度も、心の中で謝る。 しかし、心とは反対にわたしの身体は祐巳を求め、貪欲に彼女を侵食していった。 濡れた舌を祐巳の舌に絡め、弄び、狂おしいほどに彼女の口腔に愛撫を加える。 その度に祐巳の身体は、敏感に反応する。 むぎゅ… 「うくっ」 同時に制服の上から、祐巳のかわいらしい乳房を揉み上げる。 「やぁ…」 唇が離れた隙に、祐巳は拒否の声を上げる。 しかし、わたしは聞こえないフリをして シュ… 今朝、わたしが結びなおしたタイをさっとほどく。 「お姉様…」 祐巳は、涙で濡れた目で哀しそうにわたしを見つめた。 「……」 わたしは、もう一度祐巳の唇に自分の唇を重ねると、制服の胸元から手を差し入れ、祐巳の胸を直に揉んだ。 「あっ…」 初めてだろうか… 祐巳の唇に…、彼女の身体に…、このように触れたのは、わたしが初めてだろうか? ふと、そんな想いが脳裏に浮かんだ。 もしかしたら、聖様が… いつも、当然のように祐巳に触れる聖様に、すでに身を任せているのでは? そんな疑念が浮かぶ。 わたしは必死にその疑念を振り払おうとしたが、その疑念は嫉妬になり、逆にわたしの身体をつき動かせた。 「痛いっ」 無意識のうちに、祐巳の胸を乱暴に揉んでしまったようだ。 わたしは、あわてて祐巳の胸から手を離してしまった。 しかし、行き場を失った手を、わたしはそのまま引っ込めるどころか、祐巳の秘められた部分にもぐりこませてしまっていた。 びくっ 何をされるのか咄嗟に悟った祐巳は、身体を硬くするとわたしの腕の中から逃れようともがいた。 「わたしが…嫌い?」 わたしは、祐巳の耳元で甘い声音で囁きかけた。 それは、ひどく卑怯な言葉だったかもしれない。 わたしに嫌われることを恐れてる祐巳に、それ以上の反抗をさせないための脅しのような言葉。 その言葉に答えるように、祐巳の身体から力が抜ける。 「祐巳、好きよ」 そういうと、再び祐巳に口づけ。 わたしは、祐巳の秘めやかな部分に指を這わせた。 びくっ、びくっ 敏感な部分を指が掠めるたびに、祐巳の身体が快感にゆらぐ。 「祐巳…」 「あっ…、お、お姉様…、わたし…」 祐巳も身体に感じる快感に戸惑いの声をあげる。 わたしは、わたしの指で快感を感じ、喘ぐ祐巳の姿が愛しくてたまらなかった。 このまま… 祐巳の大切なものが欲しかった。 だけど、祐巳を傷つけてしまったら… 二つの想いに心が揺れる。 でも、わたしは祐巳が欲しい… 無意識のうちに指が、祐巳の身体の中に沈みそうになる。 それを感じた祐巳の身体が大きく揺れる。 身体全体で、怯え、怖がっていた。 そんな祐巳から、大切なものを奪うことは出来なかった。 「大丈夫よ…、祐巳」 そう言うと、わたしは祐巳の敏感な芽に指をあてがい優しくこすった。 祐巳を気持ちよくさせたい。 愛しい…、その想いを彼女の身体の中に刻み込むように、祐巳に快楽を刻む。 「あっ、んぅ、おね…さまぁ」 甘く喘ぐ祐巳の声に、わたしの意識も次第に昂ぶり始める。 「祐巳、好きよ。好き…、愛してる」 「わたしも…」 びくっ、びくびくっ 祐巳の身体が大きく跳ねる。 「祐巳!!」 「お姉様、わたし…、あぁぁぁぁぁぁぁぁ」 大きな快感に震える祐巳の身体を、わたしは強く抱きしめていた。 離さない… 誰にも渡したくない… それが、わたしと祐巳の禁じられた恋のはじまりだった… ― fin ― 2004/08/18 up すいません、すいません。 つい出来心で書いてしまいました。 こ、こんなんでもいいんでしょうか?あそびにんさん こんなんでよろしければ、「390000」のキリリクとしてお贈りします。 これからもよろしくお願いします。 ぺこ <(_ _)>